ぼくの日常風景?: 『クリーニング屋さん(1)』



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  『クリーニング屋さん(1)』

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ぼくは、夕方の買い物で混み合うショッピングセンターの食料品売り場でカップラーメンを買い込んでから...。

(そういえば、預けてあったんだよなぁ...、え~と...)

ぼくは財布を探り、中に挟んだ紙を取り出しました。
クリーニング屋さんの預かり伝票がクシャクシャになっています。

(あ、これこれ)

仕上がり予定日からもう2週間もたっていて、今回引き取らないとまた1週間先になるところ。

(でも、間に合うか?)

時計を見ると、もう6時55分

(確か店は7時で閉店だったよな)

辺りも薄暗くなってきた時分です。ぼくは、駆け出しました。

クリーニング店についたのは閉店2分前、とりあえずまだやってました。


「あら、鈴木さん、いらっしゃい、今閉めようと思ってたんよ」

「あ、ど、ども、間に合った...、ふぅー...(うっ)」

まだ少し息が切れてます。でもそれよりも、股間が...、

(あーあ、また出ちゃったぁ...。ま、いっかぁ後で)


「あら、どうしたの固まってぇ...。それにしても、そんなにあわててなくても。電話くれれば裏から入れてあげたんに」

「あ、そ、そうだよね、あはは...」


この店のおかみさんとは、もう2年も通っているので、すっかり顔なじみになっています。
ぼくの母親と同じくらいの年の感じで、少しお国なまりのある話し方も堅苦しくないし、割烹着姿が自然になじんでなんとも親しみがもてます。
実際、クリーニングだけじゃなくて、ボタンの取れたのとか、生地のほつれなんかも直してくれるお母さんみたいな存在で、ぼくもいつの間にか頼ってたりして...。


「じゃあ、とりあえず閉めるわ」

おかみさんは、サンダルをはいてカウンターから出てくると、店の表のシャッターをガラガラ下ろし始めました。

「あ、ぼくがやるよ。けっこう力いるでしょう」

「あ、悪いねぇ。最近肩が痛くてね、上がらないんよ」

ぼくは、おかみさんから、シャッターのハンドルを引き継ぐと一気に下ろしました。そして、隣のもう一枚のシャッターもハンドルを引っ掛けてガラガラ下ろします。


「ありがとね、ほんと助かるわぁ」

「あ、いいよ、こんなことくらい。それより、肩、そんなに痛むの?」

「そう、特にこっち、ほら、ここまでしか上がらんの」

おかみさんは、左腕を横に伸ばしてから上げようとして、

「あたたっ」

「わかった、わかった、無理しないで」

「なっ、四十肩だわ、あ違った、五十肩かぁ、あはは」

「もー...。この前は腰が痛いって言ってたけど、気をつけないと」

「そうなぁ、そろそろあちこちガタがくる歳だわ...。あ、ちょっと待ってな...」


おかみさんは、何か思いついたように一人でうなずくと、カウンターから店の奥のほうに入って行って...、しばらくすると紙袋と大きめの皿と包丁を持って出てきました。


(なんだろう...?)

「ほら、これ」

おかみさんが紙袋から取り出したのは見たこともない果物。

「えっ?」

「うちの娘が嫁いだ先が温室栽培やっててな、もらいもんだけど食べてみようかね?」

「あ、順子さんでしょう、確か九州のほうの農家に」

「そうなんよ、なんでも、旦那が南国の珍しい果物を専門にやってて、毎月のようにいろいろ送ってくるんだわ」

「へー」

「でもなぁ、中には、どうやって食べたらいいのかわからんのもあるわ。これなんか、届いた時にはどうしょうかって」

「だよねぇ...」


ぼくは、その赤と白の鮮やかな塊を前に、確かにこれは食べ方の想像がつかないな...、と。

「まあ、さっき電話で聞いたから食べ方はわかったで、とりあえず切ってみっか...」

おかみさんは、その果物を大きな皿の上に置きました。

「そういえば、『たかちゃん』どうしてる?、この春に東京の会社に入ったんだよね。一流企業はうらやましいなぁ」

「そう、孝夫なぁ、あの子も行ったきり電話もろくによこさんのよ。会社の寮だから、まあ食べて寝る分には心配いらんみたいやけど...、でも、電話くらいなぁ」

おかみさんは、店の奥にある古い柱時計を見上げて、ため息をつきました。
電話、電話って繰り返すところを見ると、きっと寂しいんでしょうね。

(一姫二太郎の姉弟だったんだもんな...)


「ま、そんなことはどーでも、さて、切るで」

「うん」

「あれ、意外とほら、簡単に切れるわ。もっと固いのかと思ってた」

「うわ、きれい!、中は白いんだ」

「そうな、ほれ、このくらいで...、はいっ」

果肉を3センチ角くらいに切って、爪楊枝を立ててくれました。

「じゃ、いただきまーす」

「味は知らんけど...」おかみさんは笑っています。

「あっ、甘い!、すごいね、すごく美味しいよ、もう一つ」

「あ、そう、よかったぁ。じゃあ、どんどん食べりん、たくさんあるでね。あたしもひとつ...、あ、確かに...、う

ん甘いわ。それにしても見た目からはちょっと想像つかん味やね」

「そうだよね、パイナップルみたいな味かなって思ったけど、これ、なんていうか...、メロンと洋梨を足して2で割っ

たような...」

「うん、確かに。でも良かった、鈴木さんに喜んでもらって」

「うん、ぼくこんなの初めてだし」

「あたしもな。これ『ドラゴンフルーツ』って言うらしいわ。見た目はちょっと引いてまうけど、食べるとうまいわな」

「そうだね、おもしろいね、こういうの」

「そうなぁ、外見からはなかなかわからないこともあるってことだわ...」



ぼくは、その甘い果物を食べるのに夢中で、おかみさんが何か言いたそうなことに気付いてませんでした。

「でな...、ちょっと」

「なに?」

おかみさんは少し言いにくそうに、

「預かった洗濯物の中に混ざってたんやけど...」

「えっ?」

おかみさんがそぉっと差し出したのは白い布。

(...)

柔らかそうな生地に青いプリントでバンビちゃんの柄が入っていました。

(うっ...)


~~『クリーニング屋さん(2)』に続く

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
このストーリーはフィクションです。
登場する団体・名称・人物は全て架空のものです。

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